駆け抜ける森 見上げた空

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サラミと僕と ⑩クリスマス・イヴ

 朝目が覚めると、その気配を感じてサラミがいつものように僕を誘いに来た。

 ねえ、散歩に行こうよ、早く行こうよ、まるでそう言ってるかのように、笑顔で駆け回っている。

 よし、じゃあ行こうか。

 サラミは初めてだよね。

 そう。今日はクリスマス・イヴだ。

 

 サラミと町に出掛けてみると、そこはもう朝から華やいだ空気に包まれていた。

 この季節はいい。

 何もしないで、ただそこにいるだけで楽しい気分になってくる。

 どこかから流れてくるクリスマスソングや聖歌、イルミネーションやクリスマスツリー。

 そして、幸せそうに歩く人たち。

 一人で歩いていると、ふと寂しく感じることもあった。

 でも、今はサラミがいるからね。

 ね、サラミ。

 そう話しかけると、サラミはうんうんと頷きながら、笑顔で僕を見た。

 ケーキやチキンを売る、最後の勝負の支度をするコンビニ等に混じって、洋食屋さんも開店の準備をしている。

 奥さんに挨拶をすると、サラミちゃんにクリスマスプレゼントと、いつもの骨をくれた。

 サラミは、僕が下げたビニールの袋の中を延び上がって嗅いでいる。

 やったね、サラミ。

 今夜はご馳走だね。

 またいらっしゃい、という奥さんから、僕も頼んであった小さなケーキを受け取った。

 

 年末の街を歩きながら考える。

 今年は、サラミと出会えて生活が一変した。

 それまでのモノクロームだった日常が、色彩を伴って色鮮やかに流れている。

 サラミと出会えて、本当に良かった。

 これからも、ずっと一緒にいようね。

 そう話しかけると、サラミは僕を見上げて笑っていた。