朝目が覚めると、その気配を感じてサラミがいつものように僕を誘いに来た。
ねえ、散歩に行こうよ、早く行こうよ、まるでそう言ってるかのように、笑顔で駆け回っている。
よし、じゃあ行こうか。
サラミは初めてだよね。
そう。今日はクリスマス・イヴだ。
サラミと町に出掛けてみると、そこはもう朝から華やいだ空気に包まれていた。
この季節はいい。
何もしないで、ただそこにいるだけで楽しい気分になってくる。
どこかから流れてくるクリスマスソングや聖歌、イルミネーションやクリスマスツリー。
そして、幸せそうに歩く人たち。
一人で歩いていると、ふと寂しく感じることもあった。
でも、今はサラミがいるからね。
ね、サラミ。
そう話しかけると、サラミはうんうんと頷きながら、笑顔で僕を見た。
ケーキやチキンを売る、最後の勝負の支度をするコンビニ等に混じって、洋食屋さんも開店の準備をしている。
奥さんに挨拶をすると、サラミちゃんにクリスマスプレゼントと、いつもの骨をくれた。
サラミは、僕が下げたビニールの袋の中を延び上がって嗅いでいる。
やったね、サラミ。
今夜はご馳走だね。
またいらっしゃい、という奥さんから、僕も頼んであった小さなケーキを受け取った。
年末の街を歩きながら考える。
今年は、サラミと出会えて生活が一変した。
それまでのモノクロームだった日常が、色彩を伴って色鮮やかに流れている。
サラミと出会えて、本当に良かった。
これからも、ずっと一緒にいようね。
そう話しかけると、サラミは僕を見上げて笑っていた。