駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Kobo Trail 編 ⑧エイドから灼熱の林道へ

武士ヶ峰のエイドに着くと、まず、小山の手前にリタイア予定者がいることを伝えた。 スタッフの方が、お疲れ様、ありがとうございますと言って地元の特産品らしい素麺を差し出した。

Kobo Trail 編 ⑦壁を越えろ

一人抜き、また、一人抜いた。 道は一度大きく下ってから天狗倉山への登りに差し掛かる。 そうしているうちに、あることに気がついた。 足の着き方さえ間違わなければ、それ程痛くない。 もちろん、間違えれば激痛が走るが。

Kobo Trail 編 ⑥揺れ動く想い

ふうっ。 大きく息をついてから、また歩き出す。 とにかく、目の前の一つひとつをクリアしていこう。 何としてでも、ゴールまでたどり着かなければ。 先行する選手を追って、目の前の直登をよじ登る。 時には斜面に生えている草を掴んで、一歩、一歩、身体を…

Kobo Trail 編 ⑤行くか、やめるか

ふうっ、と息をついて座り込む。 「お疲れさまでした。大丈夫ですか?」 スタッフの方が、これですね、と、私のスマホと名物の柿の葉寿司を手渡してくれた。 よかった。 1つ、心のつかえが取れた。 時計を見ると、ちょうど8時。 一体、どれだけ飛ばすとこ…

Kobo Trail 編 ④応急処置

左の足首に痛みを感じる。 試しに、左足で地面を押してみる。 …っ! 激痛が身体を駆け抜ける。 すぐには動けそうもないので、とりあえずトレイル脇の茂みに、ズリズリと身体を移して道を空ける。

Kobo Trail 編 ③転倒

コースは再びトレイルに戻る。 今度は急登だ。 最初は階段だったが、次第に大きな岩の続く山道へと変わる。 この四寸岩山へと続く険しいトレイルでは、スピードを落とさないように大股で、一歩ごとに両手で膝を押しながら岩の段差を登る。 その段差が一息つ…

Kobo Trail 編 ②快晴の朝

レース前日、ブリーフィング(競技上の注意点及びコースの最新情報説明)に続き、選手は本堂に集められた。続いて大勢の僧侶たちも本道に入り、そしておもむろに護魔焚きの祈祷が行われた。 読み上げられていく数々の真言に続いて祈祷の内容が読み上げられる。…

Kobo Trail 編 ①弘法大師の道

前夜の予報からは打って変わり、空には青空が広がっていた。 山の中で迎える朝は、まさに凛とした少し張り詰めたような清々しい空気に包まれ、これから山に向かう選手たちの気持ちを更に引き締めるようだった。 スタートとなる境内には、これより50kmを越え…