駆け抜ける森 見上げた空

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サラミと僕と ⑪公園にて

他の多くの犬と同じように、サラミもボール遊びが大好きだった。

ただ、サラミの場合、あまりサラミより離れたところにボールを投げると、追いかけずに僕と一緒にボールを見送って、ボールではなく僕のところに来て、行っちゃったね、という顔で僕を見て笑っていたりする。

それから、ボールを追いかけていった先で、鳥や昆虫など、何か新しい興味の対象を見つけると、ボールはそっちのけで、夢中になってそっちを追いかけ始める。

 

 

だから、僕はサラミとボール遊びをするときには、サラミのわりと近くに投げてやる必要があった。

ボール遊びの時には、当然ながらノーリードだ。

だから、他に人が来たときには、サラミを呼び寄せて待機させる。

犬を飼っていない人にとって(いや、そうでなくても)、放されている犬は恐怖の対象だ。

特に、その犬がどんな犬なのかわかるまでは。

その時も、公園でボール遊びをしているときに、年配の御婦人が来たので、サラミを呼び寄せた。

「おすわり」「まて」

サラミは僕の顔を見ながら、大人しく座っている。

御婦人は、ニコニコしながら近付いてきて、お利口さんね、と言いながら通り過ぎていった。

 

サラミは、人間が大好きで、誰にでも愛想を振りまくけど、犬好きな人とそうでない人を明確にに嗅ぎ分けて、遊んでくれそうな人にははしゃぎながら飛びついていく。

でも、この時はお座りしたまま尻尾を振って(^.^)で見送った。

天真爛漫なようで、その辺は抜かりがない。

サラミは、御婦人が言うような、飼い主に従順な、いわゆる「お利口な犬」ではないけど、根本的には頭がいいのだと思う。

人間だったら、きっと大物になったに違いない、とさえ思うのだ。

そう思うのは、ただの「飼い主バカ」かもしれないけど。