駆け抜ける森 見上げた空

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2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

サラミと僕と ④犬のいる暮らし

目覚ましよりも早く、僕はサラミのペロペロ攻撃で目が覚めた。 そうだ。散歩に連れてかなくちゃ。 外はすでに明るく、早くも夏の暑さが始まりつつあった。 やたら走りたがるサラミをなだめつつ、僕はあくびをしながら、まだ動き出したばかりの町を歩いた。 …

サラミと僕と ③初めてのお出かけ

僕は部屋を出ると、アパートを振り返った。 ここの良いところは幾つかある。 古いけどきれいなこと。 小さいけど専用の庭がついてること。 駐車場がついてること。 他を知らないけど、大家さんもいい人だと思う。 もし、サラミが大きくなったら、あの庭で飼…

サラミと僕と ②二人暮らし

アパートに着くと、サラミを部屋に下ろしてやった。 サラミは、早速そこら辺の匂いを嗅いで探索を始めている。 どうやら、好奇心も強いらしい。 さて、まずは水と餌入れか。 友人のメモによると、軽い入れ物はすぐに引っくり返るので重いほうがいいらしい。 …

サラミと僕と〜Life with a dog〜 ①サラミ

サラミは僕が飼っている犬の名前だ。 なぜサラミかと言っても、特別な理由はない。 初めてこいつの顔を見たときに、なんとなく浮かんだのだ。 それに、本人も気に入っているようなので、そう呼ぶことにしている。 その証拠に、名前を呼ばれると激しく尾を振…

ゴールデン・ダスト ⑤街灯

やがて、周り中の世界を黄金色に輝かせていた夕陽が、遠い町並みの向こうへと消えて行き、その最後の赤い光が届かなくなると、辺りは夜の街へと姿を変えていった。 黄金色に輝く奇跡の時間は、日没と共に終わりを告げ、風も治まった園内は、静かな空気に包ま…

ゴールデン・ダスト ④黄金色の時間

次の瞬間。 突然、強い風が吹いた。 「え…」 地面に積もっていた落ち葉が舞い上がり、枝に残っていた葉は一斉に樹々を離れ宙を舞う。 折からの夕陽に照らされて、空中で輝く黄葉。 ゴールデン・ダスト。 銀杏のゴールデン・ダスト。