駆け抜ける森 見上げた空

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Kobo Trail 編 ⑮いつか、きっと

 レースから1ヶ月。

 私は固定された足で歩いていた。

 病院の診断は、剥離骨折。

 全治2ヶ月らしい。

 この足でよく走りきれたものだと、つくづく思う。

 

 その後のレースは、当然すべてDNS(Do not start)となった。

 しかし、本当に貴重な経験ができたと思う。

 中でも、怪我の後に見た、白い大きな背中の後ろ姿。

 夢か現か、もしかしたら痛みのために見た幻覚だったのかも知れない。

 

 でも、それもいい。

 私にとっては同じことだ。

 完走できた理由も、あの白い背中が導いてくれたからなのか、或いは骨折の影響で多量にドーパミンが分泌されたからなのか。

 それも、どちらでもよかった。

 

 空を見上げながら考える。

 足が治ったら、また、山へ行こう。

 そして、いつか、あの背中に追い付けるだろうかと。

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(連続ツイート小説「トレラン編:Kobo trailの章」完)