駆け抜ける森 見上げた空

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「みゃう」③子猫の貢ぎ物

それから、その子猫との交流が始まった。掃き出しの窓を開けていると、その猫は部屋のなかに入ってくるようになった。パンはあまり好きではないらしかったので、カリカリのキャットフードを買ってきて、いつでも食べれるように部屋のなかに置いた。

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入居時の約束では、動物を飼ってはいけないことになっていたが、開けた窓から勝手に入ってきたのは良いんだと自分で決めて、その子猫は自由に出入りさせていた。

子猫は子猫で、カリカリの餌を食べる他、部屋のなかを探索して回り、私はそれをただ見ていることが多かった。

 

ある朝、玄関を出ると、前に昆虫の死骸が置いてあった。なんだろうと思いつつ、そのときはそのまま素通りしたが、それからは、そんなことが度々あるようになった。

置いてあるものは、各種の昆虫だけでなく、トカゲのこともあった。

 そのことを、仕事先の猫に詳しい方に話してみたところ、どうやらそれは「猫の貢ぎ物」だったらしいことが分かった。猫は、自分の主人に自分が捕ってきた獲物を貢ぐ(見せびらかす、ともすれば言っていた)習慣があるらしい。

そうなんだ、私はあの子猫の御主人だったんだ。

そう思うと、嬉しいような、なんだか誇らしいような気持ちになった。