駆け抜ける森 見上げた空

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プロローグ⑥地上の世界

階段を上がりきると、街路樹の並木が迎えてくれる。道路にはカサカサと残された枯れ葉が風に飛ばされていく。

道には朝から多くの車が往来しエンジン音を響かせている。

時々吹く強い北風のなか、歩道には、多分私と同じ類いの人たちが歩いている。

意外と多い。

彼らもまた、過密な地下通路を避けて、少しくらいの雨や風なら私のように地上を歩くのだろう。

 

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人がいる空間は、本来開放的であるべきだと個人的には思う。

私の勤務する部屋は、その性格上機密保持を重視するためか判らないが、四方を壁で囲まれた窓のない密閉された構造になっている。おまけに空気が悪い。空気清浄機を置いているけど気休め程度に感じる。ついでにエアコンの制御がうまくいかない様子で、全体的に朝は寒く、午後になるとOA機器の熱で冬でも冷房が入ることがある。しかし部屋の中で温度差があるので、足元にヒーターを入れていたりする。

この、本来人がいるべきじゃない(と私は思っている)空間を改善するために、せめて壁に嘘の窓でもと思うのだが。

最近は大型で薄いディスプレィもあるし、時間ごとに光の感じが変わる窓のような映像を写し出したら、少しは気が紛れるのではないかと思うのだが、そんな細やかな夢は叶えられそうにない。

やれやれ。