武士ヶ峰のエイドに着くと、まず、小山の手前にリタイア予定者がいることを伝えた。
スタッフの方が、お疲れ様、ありがとうございますと言って地元の特産品らしい素麺を差し出した。
続きを読む一人抜き、また、一人抜いた。
道は一度大きく下ってから天狗倉山への登りに差し掛かる。
そうしているうちに、あることに気がついた。
足の着き方さえ間違わなければ、それ程痛くない。
もちろん、間違えれば激痛が走るが。
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ふうっ。
大きく息をついてから、また歩き出す。
とにかく、目の前の一つひとつをクリアしていこう。
何としてでも、ゴールまでたどり着かなければ。
先行する選手を追って、目の前の直登をよじ登る。
時には斜面に生えている草を掴んで、一歩、一歩、身体を引き上げる。
そうして、斜面を登っては、また降る。
ひたすらその繰り返しが続く。
完走したい。
そして来年のUTMFに繋ぎたい。
思うように前へ進めない身体とゴールへの想いとの間で揺れ動く。
続きを読むコースは再びトレイルに戻る。
今度は急登だ。
最初は階段だったが、次第に大きな岩の続く山道へと変わる。
この四寸岩山へと続く険しいトレイルでは、スピードを落とさないように大股で、一歩ごとに両手で膝を押しながら岩の段差を登る。
その段差が一息つき、少し前が渋滞しているタイミングで、この険しい様子を写真に撮ろうとポケットに手を伸ばす。
…無い。
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