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駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

「みゃう」⑫旅立ち

『みゃう』~子猫物語~

それから、一瞬だけ、意識が飛んだように思う。

気がついたら、部屋の中には、カーテンを透して薄明かりが差し込んでいる。

目の前には、静かにうずくまるみゃうがいた。

無意識に、みゃうに触れた。

硬く、冷たくなっていた。

 

言葉も、何も出てこなかった。

つい、さっきまで、温かく、柔らかだったものが、こんなにも、硬く、冷たくなることを、初めて知った気がした。

何も出来ないまま、時間だけが過ぎていった。

ただ、呆然と、過ぎ行く時を見送っていた。

 

すっかり明るくなった頃、動かぬみゃうをタオルにくるみ、獣医師に紹介された動物墓地を訪ねた。

墓地では、急な訪問にも関わらず丁寧に対応してくれた。

みゃうは、ほかの動物たちと一緒に埋葬してもらうことにした。

葬儀の間も、涙も、声も、何も出てこなかった。

みゃうが焼かれている間も、誰とも言葉を交わさずにいた。

 

すべてが終わり、アパートへ戻った。

部屋に入ると、誰もいない段ボールの箱が見えた。

そのとき初めて、堰をきったように涙が溢れてきた。

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