それから、一瞬だけ、意識が飛んだように思う。
気がついたら、部屋の中には、カーテンを透して薄明かりが差し込んでいる。
目の前には、静かにうずくまるみゃうがいた。
無意識に、みゃうに触れた。
硬く、冷たくなっていた。
言葉も、何も出てこなかった。
つい、さっきまで、温かく、柔らかだったものが、こんなにも、硬く、冷たくなることを、初めて知った気がした。
何も出来ないまま、時間だけが過ぎていった。
ただ、呆然と、過ぎ行く時を見送っていた。
すっかり明るくなった頃、動かぬみゃうをタオルにくるみ、獣医師に紹介された動物墓地を訪ねた。
墓地では、急な訪問にも関わらず丁寧に対応してくれた。
みゃうは、ほかの動物たちと一緒に埋葬してもらうことにした。
葬儀の間も、涙も、声も、何も出てこなかった。
みゃうが焼かれている間も、誰とも言葉を交わさずにいた。
すべてが終わり、アパートへ戻った。
部屋に入ると、誰もいない段ボールの箱が見えた。
そのとき初めて、堰をきったように涙が溢れてきた。