駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

プロローグ⑥地上の世界

階段を上がりきると、街路樹の並木が迎えてくれる。道路にはカサカサと残された枯れ葉が風に飛ばされていく。

道には朝から多くの車が往来しエンジン音を響かせている。

時々吹く強い北風のなか、歩道には、多分私と同じ類いの人たちが歩いている。

意外と多い。

彼らもまた、過密な地下通路を避けて、少しくらいの雨や風なら私のように地上を歩くのだろう。

 

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プロローグ②電車のシートに思う

やがて列車は減速をはじめ、車内はにわかにざわめき始める。

次の駅は、この路線でも乗降客が多い駅のひとつだ。網の目のように都内に張り巡らされた地下鉄では、大抵の場合、目的地までの間に数度の乗り換えをする。

程なくして列車は止まり、開いた扉に向けて人が動き出す。

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プロローグ①

私は撫で肩だ。

そのせいか、電車で座るとよく寄り掛かられる。

そしてそれは、大抵体格の大きな男性であり、また多くの場合、ヘッドホンの音やイビキがセットになっている。

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