駆け抜ける森 見上げた空

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Kobo Trail 編 ⑫林道をぶっ飛ばせ

 林道だ。

 ここまで来れば、もう険しいトレイルはない。

 さあ、ぶっ飛ばすぞ。

 実際には、ぶっ飛ばすと言うには程遠いスピードだが、平坦な分、確実に速い。

 淡々と進んで行くと、前方のランナーに追い付いた。

 

 エイドまで、もう少しですね。

 そう声を掛けて追い越す。

 前を見ると、その前にも、その前にも、たくさんの選手が林道と格闘している。

 ロングの選手なのかショートの選手なのか分からない。

 でも、ゴールも制限時刻も一緒だ。

 

 追い付く度に声を掛けていく。

 エイドまであと2kmですよ。

 エイドに間に合えば何とかなりますよ。

 

 声を掛けた反応は様々だった。

 黙って頷く人。

 ありがとうございますと答える人。

 中には、まだそんなにあるの、と叫ぶ人もいた。

 

 そう。

 次のエイド、天狗木峠の関門にさえ間に合えば何とかなるはず。

 そして、多分、私がギリギリ。

 その私に抜かれた人は厳しいだろう。

 でも、ゴールしたい気持ちは変わらないはず。

 そう。

 みんなでゴールしよう。

 私に抜かれても、何とか間に合ってほしい。

 そんな思いで次々と抜いていく。

 

 薄暗くなってきた林道の登りが少しきつくなり、時々歩きを混ぜながら進むと、舗装道路に出た。

 林道を抜けたのだ。

 この先が最終エイドだ。

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