このレースでは、天辻峠から先は、エイドの通過に対して関門時刻が設定されている。
最初の関門になる、ここ天辻峠の関門時刻は16:00だ。
しかし、昨日のブリーフィングでも説明があったとおり、関門時刻をギリギリに通過したのでは、まず時間内の完走は難しい。
エイドに着いた私は、すぐに時計を確認する。
時刻は15:30。
関門閉鎖の約30分前だ。
おそらくギリギリだろう。
しかし、林道を粘って走りきったお蔭だろうか、足の負傷の後、初めて時間を短縮した。
行けるかも知れない。
ボトルに水を補給し、補給食として置いてあった柿の葉寿司をポケットに入れると、早々にエイドを後にした。
ゴールまでは、あと20km。
次のチェックポイント、出屋敷峠まではあと2km、関門時刻は16:30だ。
出屋敷峠までは、ほぼ下りのコース。
ここはただのチェックポイントなのだが、小さな机の上には、少量の水と、コールドスプレーが置いてあった。
スタッフの方にことわって、熱を持ち悲鳴をあげ始めていた脚と、負傷した足首を存分に冷却する。
よし。
まだ行ける。
熱を取り除いた脚は、さっきまでの疲労と痛みを一時的に忘れ去り、次のエイドに向けて加速する。
程なく、数人のグループに追い付く。
しかし、少しだけ雰囲気が違う。
見ると、同時に開催されているショートの部「D to K」の選手とスイーパーのグループだ。
苦しそうに必死で歩く数人の選手と、それに寄り添うスイーパー。
その彼等に声を掛けつつ、一人先に進む。
そこからは、ロングとショートの選手が混じり合い、何人の選手を追い抜いたのか分からなくなる。
でも、今重要なのは時刻。
次のチェックポイントまで、もう少しだ。