森の中のトレイルをアップダウンしながら更に進んでいくと、ロープが掛けられた斜面が続く険しい道に出た。
このコース最大の難関、「乗鞍の壁」だ。
最大斜度が40度を越えるとロープがつけられると聞いたことがある。
その、まさに崖のような斜面を、何本ものロープを伝って登る。
よく、山ではロープに頼らず脚の力で登れと言うが、今はそんな事は言ってられない。
リスクは承知の上で、全体重をロープに預け、痛む足を庇いながら全身の力を振り絞って登る。
握力がなくなってきた頃、果てしなく続きそうな崖の道もロープのない緩い登りに変わり、そして、ようやくその頂が見えてきた。
登りきった。
頂上からは、上級者でないととても走れないような、急峻な下りが続く。
転ばないように、足をまた痛めないように、慎重に下る。
その、長く急な下り坂を終え、比較的緩やかな山道を過ぎると、舗装された道に出る。
時刻は15:20。
早くも日が傾いてきた。
急ごう。
次のエイド、天辻峠までは約1kmだ。