駆け抜ける森 見上げた空

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「まちづくり」②日本橋川のほとりで

 そんな、どうでも良いようなことを考えながら歩いていると、日本橋川のほとりにある、ちょっとした広場に出る。

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 日本橋川は、かつては江戸城の外郭にも位置した風情のある処だったらしいが、高度成長期に首都高速道路を川の上に沿って建設するなど、今では断片的にその面影を残すのみとなっている。そのひとつである常盤橋は、東日本大震災で壊れたあと、今も修復中だ。

 学校に通っている頃、この首都高速道路などを全部地下に埋めて、日本橋川や外濠の景観を復活させたまちづくりはどうしたら出来るか、そのためにはシールド工事で何年かかるかなど、未来の東京のまちづくりについて夢を語り合ったことがある。

 その当時の仲間たちは、今は実際に日本や世界の各地で、その土地土地のまちづくりのために働いている。今私は彼等とは違う道を歩んでいるが、ここへ来たり、まちづくりの現場を見かけると、その頃のことを思い出して、いろいろと考えたりすることもある。

 

 その、日本橋川の周辺は、かつての様子を思い起こさせるような、様々な仕掛けがされている。柳が植えられていたり、古い石碑を象徴的にした、広場というにも小さな空 間を創出したり。

 この広場もまた、かつての船着き場を再現したような造りになっていて、水面に向けて半円を描いた階段を下がって行く。

 その、小さな屋外劇場のような円の中心辺りには、最近始めたらしい小さな観光船の乗り場になっている。

 そのうち乗ってみたいと思うのだが、なかなかその機会がない。

 まあ、機会なんてものは、自分から積極的に作っていかない限り、なかなかないものなのだが。

 

 日本橋川は、周辺がビルに囲まれ、上が首都高で塞がれているため、なかなか周囲からその姿を見るのが難しい。だから、この川に沿って歩いてみたいと思ってみても、実際には橋のかかっている処でようやくその姿を眺めることができる、といった感じだ。

 その、日本橋川に沿って、着かず離れず歩いてると、ビルに囲まれた神社が見えてくる。

 この辺りは、意外とこんな寺社や祠が多い。きっと、これも江戸の文化だったのだろう。そして、それらがこれだけのビルに埋もれながらも、しっかりと残されている。

 それもこの東京の街の凄い処だと思う。古くからの信仰を大切に守る文化、とでも言うのだろうか。

 ただ、周囲の近代的な街並みとは別の、異質な空間として存在していることは、少し残念な気がする。

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