家路~深夜の電車にて~
ふと脇を見ると、高校生だろうか、参考書のようなものを広げて試験勉強をしている。 試験勉強といえば暗記だが、私は暗記をすることがとても苦手だ。しかし、人に言わせると、私は色々なことをよく覚えているという。
電車には優先席というのがある。もちろん、御老人や妊婦さん、身体の不自由な方のために用意された席だ。優先席の前に立つと、大抵そこには「携帯電話の電源を切る」ことが書かれている。しかし、多くの人は平然と携帯電話を操作している。
今日もまた残業で帰りが遅くなった。一人駅のホームに立ち電車を待つ。この時間になっても都心では多くの人が行き交う。それでも、ラッシュの時間と比べれば圧倒的に少ないのだが、いつの時代に何を考えて作られたのかと思うくらいに人の数に比べて狭いホー…