駆け抜ける森 見上げた空

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プロローグ

プロローグ⑦そして、街路樹

ビルの合間を抜けてきた北風に吹かれながら、最近出来た小さな森の前を過ぎる。 この森も、周辺の連続再開発の結果生まれた成果だ。 明治神宮の森は、木が成長した50年後や100年後の姿を想定して創られたものらしいが、ここはどうなんだろうか。その頃には、…

プロローグ⑥地上の世界

階段を上がりきると、街路樹の並木が迎えてくれる。道路にはカサカサと残された枯れ葉が風に飛ばされていく。 道には朝から多くの車が往来しエンジン音を響かせている。 時々吹く強い北風のなか、歩道には、多分私と同じ類いの人たちが歩いている。 意外と多…

プロローグ⑤成長する迷宮からの脱出

そんな、息の抜けない都会の地下を抜けるために、私は地上を目指す。 確かに便利なのだが、私は、この地下通路があまり得意ではない。

プロローグ④都心環状線の思い出

よく「譲りあいの心が大事」というが、ここでそんなものを発揮したりすると、途端に一歩も動けなくなる。 隙あらば入って来る人の列に身動きが取れなくなり、後ろの人に押されたり、悪ければ怒鳴られる。

プロローグ③ドアの前の人

そんなことを思い出していると、再び車内がざわつき始めた。次の駅ではほぼ半数以上の人が入れ替わる。 私も降りる駅だ。

プロローグ②電車のシートに思う

やがて列車は減速をはじめ、車内はにわかにざわめき始める。 次の駅は、この路線でも乗降客が多い駅のひとつだ。網の目のように都内に張り巡らされた地下鉄では、大抵の場合、目的地までの間に数度の乗り換えをする。 程なくして列車は止まり、開いた扉に向…

プロローグ①

私は撫で肩だ。 そのせいか、電車で座るとよく寄り掛かられる。 そしてそれは、大抵体格の大きな男性であり、また多くの場合、ヘッドホンの音やイビキがセットになっている。