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駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

「少年時代」⑤青空に抱かれて~背面飛び~

彼と過ごしたのは、子供が増えて教室が足りなくなり、町の予算が間に合わないために本設として使われていたプレハブの校舎だった。気温などは教室としての基準を満たしていたらしいが、実際には、輻射熱で夏は暑く、熱放射で冬は寒かった。

「少年時代」④翔べ、グライダー

さあ、君の番だよ、というように彼は正面から見ている。 彼がやって見せたように、後ろの空間に身を任せてみた。

「少年時代」③鉄棒の大技

砂場の側には鉄棒や雲梯があった。どちらも最初はぶら下がっている事さえ出来なかったが、どちらも何かのきっかけで楽しくなった。それこそ、身体の使い方のイメージが閃いたのだろう。それからはクラスの中でも得意な方に入った。

「少年時代」②慰霊塔と砂遊び

新体育館の隣には、取り壊しや移設を免れた慰霊塔があった。 その慰霊塔は、大きな石を積んだような小山の上にあって、周囲よりも少し高いところに建てられていた。塔の周りは大きな樹木に囲まれていて、その一郭だけは元々沼地だった校庭とはまた違う世界を…

「少年時代」①校庭の四季と体育館

子供の頃はというと、色々な事がすべて新鮮で、すべてが興味の対象だった。すべての事が色鮮やかに飛び込んできて、それらは未だに記憶のどこかに残っている。時間の経過もゆっくりで、あの僅か5分の休み時間にも、よくまあ遊びまくったものだと思う。

「家路」③受験勉強と記憶の方法

ふと脇を見ると、高校生だろうか、参考書のようなものを広げて試験勉強をしている。 試験勉強といえば暗記だが、私は暗記をすることがとても苦手だ。しかし、人に言わせると、私は色々なことをよく覚えているという。

「家路」②優先席と専用車両

電車には優先席というのがある。もちろん、御老人や妊婦さん、身体の不自由な方のために用意された席だ。優先席の前に立つと、大抵そこには「携帯電話の電源を切る」ことが書かれている。しかし、多くの人は平然と携帯電話を操作している。

「家路」①夜のホームにて

今日もまた残業で帰りが遅くなった。一人駅のホームに立ち電車を待つ。この時間になっても都心では多くの人が行き交う。それでも、ラッシュの時間と比べれば圧倒的に少ないのだが、いつの時代に何を考えて作られたのかと思うくらいに人の数に比べて狭いホー…

「まちづくり」④再開発の現場で

そんなことを思いながら歩いていると、広い敷地の建物を壊し、新しく再開発を始めている区画に出た。この辺りは、ドミノ式の処以外にもあちこちでビルの建て直しや再開発が行われている。面白いもので、建物は一端取り壊されると、元々そこに何があったのか…

「まちづくり」③古いものと新しいものと

古いものと新しいものが混在すると、何故か日本ではそれぞれの存在が個性を主張していて巧く溶け合っていない印象がある。 これに対してヨーロッパでは見事に溶け合ったような町並みが出来上がっている例が多い。少なくともそう感じる。

「まちづくり」②日本橋川のほとりで

そんな、どうでも良いようなことを考えながら歩いていると、日本橋川のほとりにある、ちょっとした広場に出る。

「まちづくり」①雨上がりの街

取り敢えず、午前中の仕事が一区切りついたので、外に出ることにした。私は、出来るだけこの閉鎖的空間から逃れたいので、何かに理由をつけて外に出るようにしている。といっても、そうそう理由なんて無いのだけれど。

「みゃう」⑮番外編 雨の日

「みゃう、ただいま」 部屋に戻ると、いつもなら玄関までお迎えに来るのだが、今日はいない。 「みゃう?」 中に入り、部屋の中を見渡してみた。 …いた。 みゃうは、掃き出しの窓の下で、窓を伝う雨の滴を夢中で追いかけていた。 (番外編)

「みゃう⑭エピローグ

病院から戻ると、珍しく大家さん夫婦がアパートの前に来ていた。 どうやら、新しく入居する人の部屋を確認していたらしい。 挨拶をすると、奥さんからは元気な声が、大家さんからは相変わらずの控え目な笑顔が返ってきた。 私は、先日見た不思議な猫の話をし…

「みゃう」⑬春の幻

みゃうがいない夏は、あっという間に過ぎていった。 秋になり、次第に木々の葉が色づき、風に舞う様子を、誰もいない部屋の中から眺めた。 やがて、冬枯れの木々を冷たい北風が揺らすようになっても、それは変わらなかった。 そして、季節は流れ、また、春が…

「みゃう」⑫旅立ち

それから、一瞬だけ、意識が飛んだように思う。 気がついたら、部屋の中には、カーテンを透して薄明かりが差し込んでいる。 目の前には、静かにうずくまるみゃうがいた。

「みゃう」⑪闘病

タオルでくるんだみゃうを抱いて、アパートの部屋に入った。 その途端、堪えていたものが溢れだした。 みゃうを抱き、立ち尽くしたまま、私は動けずにいた。 ただ、涙だけが流れ落ちて行く。 頬をつたった涙が、みゃうの上に落ちる。 みゃうが、みゅ、と、小…

「みゃう」⑩病院へ…

なんで…? 様々な思考が交錯して、どうしたらよいのか判断できずに、そのまましばらくしゃがみこんでいた。 目の前では、相変わらずみゃうがうずくまっている。 そうだ。病院に連れていかなきゃ。

「みゃう」⑨発病

その日は、夏も後半に差し掛かった、よく晴れた金曜日だった。 昼間の強い日差しも緩んだ夕方、繁華街へと向かう仲間の誘いも緩く断り、家への道を急いでいた。 途中、少し食欲が落ちたみゃうのために、猫缶などを買うのは忘れなかった。 涼しくなった風が心…

「みゃう」⑧予兆

その日は少しワクワクした気持ちで歩いていた。 今朝のようなこともあるかと思い、帰りに寄り道して猫用のトイレなどを買い込んできたのだ。 これでまた少し、みゃうの飼い主に近付いたような気がして、楽しいような、嬉しいような、なんだかバカみたいだけ…

「みゃう」⑦初めて触れた日

戸を開けて、中に入ろうとすると、何かが足元をすり抜けた。 みゃうだ。 私は慌てて扉を閉めた。 今の様子を奥さんに見られてないだろうか。そう思うとドキドキだった。 「おまえ、どこにいたんだよ」 今まで、その辺の茂みにでも隠れていたのだろうか。それ…

「みゃう」⑥大屋さんの奥さん

目が覚めると、みゃうはもう段ボールの箱から出ていた。 どこにいるのかと部屋の中を見回してみると、窓の下の薄日が差し込む辺りに動くものがある。後ろから光を受けて、ふわふわした輪郭が浮き上がっている。 みゃうだ。 起き上がった私を見て、みゃうは、…

「みゃう」⑤はじめての夜

それからも、みゃうは毎日のように現れては、部屋のなかで寛いだり餌を食べたりして、また帰っていった。どこに帰って行ってるのかはわからないが、自分の飼い猫な訳でもないので放っておいた。 留守の時には、貢ぎ物も度々置いてあった。気味が悪いものが多…

「みゃう」④命名

その子猫は、私を見かけると、私を見上げて、みゃう、と鳴いて、身体を私の足などに擦り付けたあと、その辺を歩き回ることが多かった。 かといって、部屋のなかで騒いだり、散らかすこともなかった。

「みゃう」③子猫の貢ぎ物

それから、その子猫との交流が始まった。掃き出しの窓を開けていると、その猫は部屋のなかに入ってくるようになった。パンはあまり好きではないらしかったので、カリカリのキャットフードを買ってきて、いつでも食べれるように部屋のなかに置いた。

「みゃう」②子猫との出会い

その頃住んでいたのは、アパートの一階だった。1Kの簡単な部屋は南向きで、道路から少し入ったところにある部屋の前は、中からはちょっとした庭のように見えた。 その庭のような空間は、町中の連なったアパートの部屋の前であるにもかかわらず、周辺から切り…

「みゃう」①猫の恩返し

このところ、ペットを飼う人が増え、家族のように一緒に生活する家庭が増えているらしい。とくに、猫が人気らしく以前は犬と半々だったのが現在では猫の方が圧倒しているとも聞く。 この猫については、可愛い話や面白い話はもちろん多いが、時に不思議な話を…

プロローグ⑦そして、街路樹

ビルの合間を抜けてきた北風に吹かれながら、最近出来た小さな森の前を過ぎる。 この森も、周辺の連続再開発の結果生まれた成果だ。 明治神宮の森は、木が成長した50年後や100年後の姿を想定して創られたものらしいが、ここはどうなんだろうか。その頃には、…

プロローグ⑥地上の世界

階段を上がりきると、街路樹の並木が迎えてくれる。道路にはカサカサと残された枯れ葉が風に飛ばされていく。 道には朝から多くの車が往来しエンジン音を響かせている。 時々吹く強い北風のなか、歩道には、多分私と同じ類いの人たちが歩いている。 意外と多…

プロローグ⑤成長する迷宮からの脱出

そんな、息の抜けない都会の地下を抜けるために、私は地上を目指す。 確かに便利なのだが、私は、この地下通路があまり得意ではない。

プロローグ④都心環状線の思い出

よく「譲りあいの心が大事」というが、ここでそんなものを発揮したりすると、途端に一歩も動けなくなる。 隙あらば入って来る人の列に身動きが取れなくなり、後ろの人に押されたり、悪ければ怒鳴られる。

プロローグ③ドアの前の人

そんなことを思い出していると、再び車内がざわつき始めた。次の駅ではほぼ半数以上の人が入れ替わる。 私も降りる駅だ。

プロローグ②電車のシートに思う

やがて列車は減速をはじめ、車内はにわかにざわめき始める。 次の駅は、この路線でも乗降客が多い駅のひとつだ。網の目のように都内に張り巡らされた地下鉄では、大抵の場合、目的地までの間に数度の乗り換えをする。 程なくして列車は止まり、開いた扉に向…

プロローグ①

私は撫で肩だ。 そのせいか、電車で座るとよく寄り掛かられる。 そしてそれは、大抵体格の大きな男性であり、また多くの場合、ヘッドホンの音やイビキがセットになっている。