駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

ゴールデン・ダスト ⑤街灯

 やがて、周り中の世界を黄金色に輝かせていた夕陽が、遠い町並みの向こうへと消えて行き、その最後の赤い光が届かなくなると、辺りは夜の街へと姿を変えていった。

 黄金色に輝く奇跡の時間は、日没と共に終わりを告げ、風も治まった園内は、静かな空気に包まれていた。

 ポツポツと街頭に照らされた部分だけがまるでスポットライトを浴びたかのように浮かび上がっている。

 時折、緩やかな風が道の上の落ち葉をかさこそと音をたてる。

 その中を、二人並んで歩いた。

「今日はたのしかったな」

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ゴールデン・ダスト ④黄金色の時間

 次の瞬間。

 突然、強い風が吹いた。

「え…」

 地面に積もっていた落ち葉が舞い上がり、枝に残っていた葉は一斉に樹々を離れ宙を舞う。

 折からの夕陽に照らされて、空中で輝く黄葉。

 ゴールデン・ダスト。

 銀杏のゴールデン・ダスト。

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ゴールデン・ダスト ③並木道

 広い園内の一番奥には、銀杏の並木道がある。

 その並木道は、まさに今がそのピークとでも言うかのように、地面に近いところから枝の先端まで樹々の葉が黄色く染まっていた。

 そして、地面の上には、やはり黄色く染まった葉が降り積もり、辺り一面が銀杏の色に包まれている。

 遠く西の空からは、夕陽が黄金色の光を投げ掛け、その空間は、上から下まですべてが黄色く輝く世界になっていた。

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ゴールデン・ダスト ②都市公園

「うわぁ…」

 広い園内は、まるで日本中の秋を集めてきたかのように、見事に染まっていた。

「すごいね」

「ほんと、ね」

 頃よく傾いた陽射しが、園内に黄色い光を投げかけ、赤や黄色に色付いた樹々や、空気までも黄金色に染め上げている。

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ゴールデン・ダスト ①カフェ

 時計の針は午後2時を少し過ぎていた。

薄暗い店内には、今淹れたばかりであろう珈琲の香りが漂っている。

他の客の会話が適度に打ち消される程度に流れているエリックサティを聞き流しながら、私は注文したアールグレイが運ばれてくるのを待っていた。

 この店に来るのも久しぶりだ。

周囲が気にならない雰囲気と、店内の景色に溶け込んだマスター。

変わり続ける街の風景はよそに、ここだけは時が止まったようにさえ感じる。

 

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Kobo Trail 編 ⑮いつか、きっと

 レースから1ヶ月。

 私は固定された足で歩いていた。

 病院の診断は、剥離骨折。

 全治2ヶ月らしい。

 この足でよく走りきれたものだと、つくづく思う。

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Kobo Trail 編 ⑭高野の町

 最終エイドから、もう30分は走っただろうか。

 辺りは既に闇に覆われていた。

 大きく左にカーブを切り、道幅のある坂道を下っていると、この辺りに住む人だろうか、車や人がすれ違うようになった。

 その彼らが、「頑張れ」と声を掛けてくれる。

 ありがとうございます、と、声だけは元気に返事をする。

 いや、実際にはどれだけ声が出ていたのか分からないが。

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