駆け抜ける森 見上げた空

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サラミと僕と ⑦居心地の良い場所

 サラミと暮らし初めて、4ヶ月が過ぎた。

 足が太いから、立派な犬になるね、と言われていたけど、実際には足だけが伸びず、胴長短足な「立派な犬」になった。

 先日の一件があってから、外でも飼えるように、僕はサラミと一緒に大家さんやご近所に挨拶に回った。

 どんな反応をされるか不安だったけど、当のサラミと一緒だったせいか、案外反応は良好だった。

 相変わらずサラミは誰彼構わず愛嬌を振り撒いていたので、番犬にはならないね、とか言われながら撫でられたりしていた。

 かくして、小さな庭でもサラミを飼えることになった。

 

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サラミと僕と ⑥ひとりぼっち

 サラミと暮らし始めてから、僕は残業もせず、飲みにも行かないで、速攻で帰宅する生活になった。

 サラミがまだ小さかったこともあったけど、何よりサラミと一緒にいたかった。

 家に帰ると、玄関まで迎えに来たサラミを連れて散歩に出た。

 まだ暑さの残るなか、蝉時雨を聞きながら歩いた夏の日。

 少しずつ日が早くなり、夕暮れまでの空の色の変化を一緒に見上げた夏の終わり。

 少しずつ涼しくなり、色とりどりの花の中を駆け抜けた初秋。

 稲刈りも始まり、風に揺れる黄金色の稲穂の中で過ごした秋。

 紅葉に燃える公園を歩き、木枯らしの吹き始めた並木道を歩いた。

 そうして、いつも一緒にいた。

 そして、いつも一緒に歩いた季節が流れて行くのを眺めていた。

 

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サラミと僕と ⑤しつけ

 サラミは、基本的には頭が良いようで、教えたことは、すぐに覚えた。

 でも、やんちゃなところは変える気がないのか、やりたいと思ったことはやることにしているようだった。

 当然、やんちゃの後は怒られるのだが、一体どこで覚えたのか、まずは愛嬌で許してもらおうとする。

 そんな時は、可愛さに負けそうになるのを堪えてもう一度叱るのだが、そうすると、一旦はスゴスゴと自分のダンボールハウスの中に引き下がる。

 でも、「サラミ」、と呼ぶと、嬉々としてはしゃぎながら飛び出してくる。

 根本的に、サラミはめげることがなく、そして明るかった。

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サラミと僕と ④犬のいる暮らし

 目覚ましよりも早く、僕はサラミのペロペロ攻撃で目が覚めた。

 そうだ。散歩に連れてかなくちゃ。

 外はすでに明るく、早くも夏の暑さが始まりつつあった。

 やたら走りたがるサラミをなだめつつ、僕はあくびをしながら、まだ動き出したばかりの町を歩いた。

 遅めの新聞配達のバイクや、牛乳配達のバイクが通りすぎて行く。

 早出のサラリーマンが小走りに駆けて行く。

 まだ車の少ない通りは、散歩するにはちょうど良かった。

 しかし、すでにじりじりと強い陽射しが町に降り注いでいる。

 今日もまた、暑くなりそうだ。

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サラミと僕と ③初めてのお出かけ

 僕は部屋を出ると、アパートを振り返った。

 ここの良いところは幾つかある。

 古いけどきれいなこと。

 小さいけど専用の庭がついてること。

 駐車場がついてること。

 他を知らないけど、大家さんもいい人だと思う。

 もし、サラミが大きくなったら、あの庭で飼えるかな?

 僕は車に乗り込むと、助手席の足元に持っていたタオルを広げ、その上にサラミを置いた。

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サラミと僕と ②二人暮らし

 アパートに着くと、サラミを部屋に下ろしてやった。

 サラミは、早速そこら辺の匂いを嗅いで探索を始めている。

 どうやら、好奇心も強いらしい。

 さて、まずは水と餌入れか。

 友人のメモによると、軽い入れ物はすぐに引っくり返るので重いほうがいいらしい。

 取り敢えず、少しでも重そうな瀬戸物の器に水を入れて床に置いた。

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サラミと僕と ①サラミ

サラミは僕が飼っている犬の名前だ。

なぜサラミかと言っても、特別な理由はない。

初めてこいつの顔を見たときに、なんとなく浮かんだのだ。

それに、本人も気に入っているようなので、そう呼ぶことにしている。

その証拠に、名前を呼ばれると激しく尾を振って嬉しそうだ。

このサラミと出会ったのは、友人の家に遊びに行ったときの事だ。

 

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