駆け抜ける森 見上げた空

ツイッターで掲載中の『連続ツイート小説』おまとめサイトです。

Kobo Trail 編 ⑭高野の町

 最終エイドから、もう30分は走っただろうか。

 辺りは既に闇に覆われていた。

 大きく左にカーブを切り、道幅のある坂道を下っていると、この辺りに住む人だろうか、車や人がすれ違うようになった。

 その彼らが、「頑張れ」と声を掛けてくれる。

 ありがとうございます、と、声だけは元気に返事をする。

 いや、実際にはどれだけ声が出ていたのか分からないが。

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Kobo Trail 編 ⑫林道をぶっ飛ばせ

 林道だ。

 ここまで来れば、もう険しいトレイルはない。

 さあ、ぶっ飛ばすぞ。

 実際には、ぶっ飛ばすと言うには程遠いスピードだが、平坦な分、確実に速い。

 淡々と進んで行くと、前方のランナーに追い付いた。

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Kobo Trail 編 ⑪スイーパー

 紀和隧道上のチェックポイントに着くと、そこにいた長身の男性か私を見て笑顔を見せた。

 序盤、転倒した時にお世話になったスイーパーの方だ。

 「君がここまで来てくれてよかったよ」

 そう言う彼にお礼を言いつつ、時間を確認する。

 「ぎりぎりですか」

 「ぎりぎりだね」

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Kobo Trail 編 ⑩関門を超えて行け

 このレースでは、天辻峠から先は、エイドの通過に対して関門時刻が設定されている。

 最初の関門になる、ここ天辻峠の関門時刻は16:00だ。

 しかし、昨日のブリーフィングでも説明があったとおり、関門時刻をギリギリに通過したのでは、まず時間内の完走は難しい。

 エイドに着いた私は、すぐに時計を確認する。

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Kobo Trail 編 ⑨乗鞍の壁

 森の中のトレイルをアップダウンしながら更に進んでいくと、ロープが掛けられた斜面が続く険しい道に出た。

 このコース最大の難関、「乗鞍の壁」だ。

 最大斜度が40度を越えるとロープがつけられると聞いたことがある。

 その、まさに崖のような斜面を、何本ものロープを伝って登る。

 よく、山ではロープに頼らず脚の力で登れと言うが、今はそんな事は言ってられない。

 リスクは承知の上で、全体重をロープに預け、痛む足を庇いながら全身の力を振り絞って登る。

 握力がなくなってきた頃、果てしなく続きそうな崖の道もロープのない緩い登りに変わり、そして、ようやくその頂が見えてきた。

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